決算書の読み方③
山岡公認会計士・税理士事務所 山岡 健一
2013年10月10日発行
今回のお話は、前回の粉飾決算による会計操作についての説明をします。
前回、会計操作の手法として以下の3種類ある事をお話しさせて頂きました。
① 損益計算書を使った会計操作
② 貸借対照表を使った会計操作
③ 連結決算を使った会計操作
その中でも①の損益計算書を使った会計操作が一番多いと思います。
これは、大きく分けてふた種類あります。
・収益をなるべく前倒しで計上する。
・費用をなるべく先送りして計上する。
具体例は、例えば、得意先等に頼み込んで販売したことにするのです。例えば、来期の売上の予定なのに出荷したことにするのです。また、来期に返品してもら事にしたりもできます。特に、関係会社等に対する売上は容易にできると思います。
また、まだ提供していないサービスについてその対価を売上とみなす事もできます。長期間にわたるメンテナンスのサービス等は、来期以降の見込みの売上があるわけですからそれを今期の売上とするのです。この手口は、学校等のスクールやエステサロンなど、一括契約でのサービスの契約の際に使われる事があります。
売上が足りない時は、親密な取引先通りで売上を融通しあう事があります。このような取引は循環取引といいますが、どんどん金額が大きくなるのが特徴です。
このように収益が増えますと、売上に比して貸借対照表の売掛金の割合が大きくなります。これは、現金の増加を伴いませんので、貸借対照表の前期比較をすれば、何かおかしいと気づくと思います。次回は、費用の先送りの具体例について説明したいと思います。
山岡 健一
山岡公認会計士・税理士事務所
山岡公認会計士・税理士事務所代表。1979年生まれ、福岡県出身。2006年公認会計士試験に合格後、2011年に独立開業。
コンサルティング型の会計士として企業の顧問業務を行っている。
URL:http://www.yamaoka-cpa.com/
電話番号:092-739-3450(代)
山岡公認会計士・税理士事務所 山岡 健一さんのコラムです。