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決算書の読み方⑤

山岡公認会計士・税理士事務所 山岡 健一

2013年12月20日発行

 前回の続きとして粉飾決算による会計操作についての説明をします。

今回は、貸借対照表を使った会計操作の負債を計上しない方法です。
負債を計上しない方法としては、将来の債務に備えるための引当金を計上しない方法と将来のために積み立てておいた引当金を取り崩す方法があります。

一つ目の将来の債務に備えるための引当金を計上しない場合とは、取引先からの売掛金や貸付金等の債権の回収が難しい場合に本来であれば引当金を計上します。しかし、そのような会計的な手当てを何もしない状態であれば、将来に起こるであろう損失を先延ばしする事になります。また、債務保証や訴訟による損害賠償に対しての引当金等も同様です。

引当金を計上していない会社は、会計上は将来に対する損失の備えをしていない事になります。このような会社に投資をしてしまっては不測の損害を被る恐れがあります。

二つ目は将来のために積み立てておいた引当金を取り崩す方法です。本来の目的に使用する場合は別ですが、当初の目的以外の理由で取り崩す場合があります。例えば、退職金規定の変更による引当金の取り崩し等があります。引当金を取り崩すことは、これまで積み立てていた貯金を取り崩すようなものです。

たとえその期には一時的に利益を生み出せても、これが単なるその場しのぎにすぎないことはすぐにわかります。
「売上が増えているが引当金が減っている」場合などは注意が必要です。
見かけ上の利益を増やしますが、将来のリスクを高める事になってしまいます。

山岡 健一
山岡公認会計士・税理士事務所
山岡公認会計士・税理士事務所代表。1979年生まれ、福岡県出身。2006年公認会計士試験に合格後、2011年に独立開業。
コンサルティング型の会計士として企業の顧問業務を行っている。

URL:http://www.yamaoka-cpa.com/
電話番号:092-739-3450(代)

山岡公認会計士・税理士事務所 山岡 健一さんのコラムです。

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